全国的に、同一の施設に複数のスクリーンがある複合映画館、いわゆる「シネコン」の進出で、昔からの映画館が閉館していく中、一部の映画館は単館系と呼ばれる映画配給会社の系列に属さず、シネコンで扱わない作品を主に上映する「ミニシアター」という形で、古き良き映画館のたたずまいとともに残っていきました。ここ浜松にもそんな映画館「シネマイーラ」があります。今回は新型コロナウィルス感染拡大抑止と緊急事態宣言を受けて休館を余儀なくされた今、館長の榎本さんにお話をうかがいました。

シネマイーラ館長 榎本雅之さん

365日休まないのが当然の映画館
今回の休館はお客様のための苦渋の選択

私はもともと東映の社員。1988年に「浜松東映」が、ビルの老朽化と都市計画に伴う道路拡張にかかったこともあって、現在の場所に移転することになったんです。そのタイミングで「新潟東映」から支配人として浜松に赴任してきました。生まれは東京なんですが、浜松の人の気質が江戸っ子気質とよく似てるんです。だから水があったのか、浜松に住み着いちゃいましたね(笑)。

映画って「娯楽の王様」って言われてた時代があって、お客様に対しても「観せてやる」っていう商売でした。でも私は昔からそれが嫌で、自分なりに「観ていただく、喜んでいただく」っていう気持ちでこれまで劇場を運営してきました。
今現在、お客様に安心して「観ていただく」ことが、ウィルス感染拡大を防ぐためにも、世情的にも難しいと判断して、やむをえず休館を決めました。人が集まる密閉空間という事で行政から休業の要請もありましたしね。映画に携わって50年近くなりますが、映画館っていうのは365日休まないのが当たり前と思ってやってきたんです。でも今回だけはさすがに我々の都合ではなく、お客様の安全のためですから、仕方ないことと受け止めています。

▲ 「早くお客様をまたお迎えしたいよ」映画のポスターのない入口付近はやはり寂しい
▲ 「こんな時でないと徹底的な掃除できないからさ」と入口付近を丹念に掃除する榎本さん
▲ ポスターの掲示板に一枚もポスターが貼られないのは開館以来初めてのこと
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