お芝居では、子どもたちに教えられることが多い

お芝居をやっていて、子どもたちに教えられることが本当に多いです。

入団3年目ぐらいのころ、龍の子太郎を演じた時です。長野県の飯山で夏公演がありました。吹雪のなか倒れてしまい、助けが来るのを待っている場面で、一人の男の子が舞台前まで走ってきて「太郎起きろ、死んじゃうぞ」と床をたたき出したのです。私は起きるわけにもいかず「どうしよう」とただうずくまっていると、女の先生が来てくださり「大丈夫、太郎は死なないから」となだめてくださいました。それでも男の子は「だって太郎、死んじゃうよ、寝ちゃあダメだよ」と本気で心配してくれたのです。男の子は席に戻り、ようやく芝居を続けることができました。終わったあと、この子のご両親は、日頃から大事なことをきちんと教え、大切に育ててきたんだなと感心しました。夏休み前の暑い日に、汗をかきながら演じていたのに、汗をかきながら観てくれていたのに、男の子には吹雪のなかの出来事だったんです。

演じること(芝居)を少し分かったつもりでいた自分。「芝居って何?」、私はさらに芝居の世界にのめり込んでしまいました。

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